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3
亜美さんの案内で、優海は階段を上がる。
二階部分は一部が吹きぬけになっていて、そのまわりを囲むように足場がせり出している。
足場に面した壁とそのつきあたりには、協会の庭園に咲く四季の花の写真や、近隣の風景をえがいた絵画が展示されていた。
「……亜美さん。あっちって、ここで話すの?」
いちばん端の少し広くなっているスペースまでやって来ると、亜美さんは一枚の絵の前で立ち止まった。
「ちょっと待っててね。」
亜美さんは、正面に飾られている絵を額ごとはずす。
「……あれ?壁の裏に何かある……。」
見れば裏の壁には、花の形をした小さなガラスのような飾りが埋め込まれている。
優海がまじまじとそれを眺めていると、亜美さんはポケットから何かを取りだした。それは、ちょうど壁のものと同じような花の形をしたペンダントだった。
亜美さんが、ペンダントの花を、そっと壁の花に重ねあわせる。すると、その花の飾りのまわりの壁が突然光りはじめた。
「えっ?何なにっ?」
優海が呆然と見守るなか、壁にあらわれた光はしだいに広がってゆく。やがてそれは、人ひとりが通れるくらいの大きさになった。
「さあ、行きましょ。」
亜美さんは優海に呼びかけると、その光に向かって歩きだした。
「ちょ、亜美さん……え?」
優海は目を白黒させた。自分の
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