10人が本棚に入れています
本棚に追加
優海はそばに寄って、じっと花をながめる。
ふわふわと波うつような花びらが八重咲きに咲いた白い花。優海は前にも、その花を見たことがあった。
「これ?これってたしか……あ、あ……」
あ、の先が出てこない。
その場で浮かんだ言葉を、優海はとっさに口にだしてみた。
「……アネモネっ!」
「アゼリアですっ!」
突然聞こえた子供の声に、優海は驚いてあたりを見回した。ここには亜美さんと私の二人しかいないはずなのに……。
「どこ?誰かいるの?」
必死になっている優海のようすに、亜美さんは思わずクスリと笑う。
「ごめんなさい、驚かせちゃって。」
亜美さんはそう言って優海にあやまると、『声の主』に呼びかける。
「もう、ダメでしょ、ユキ。いたずらしちゃ?」
「……は~い。」
またも子供の声がするが、今度は優海にも見当がついた。
でも、それって……。
優海は声のほうに向き直る。そこには、先ほどの鉢植えがあった。
直後、ぽんっという音といっしょに鉢植えが煙をふきだす。
突然の爆発に、優海は驚いて後ずさりするが、このあとその10倍は驚くことになるとは、まさか思ってもみなかった。
煙がはれたとき、そこにあったのは鉢植えではなく、かわいらしい人形だった。
「……え?」
優海は目をぱちくりさせ、目の
最初のコメントを投稿しよう!