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は決められない。
優海は思いきって、たずねてみることにした。
「……亜美さんは、どうしてユキとパートナーになったの?」
「……そうね。」
亜美さんはすこし考えていたが、やがてしみじみと答えた。
「声が聴こえたの。ユキの心の声が。」
「声?」
目をまんまるくしている優海をしりめに、亜美さんは続ける。
「動物でも植物でも、その子とほんとうに心が通じあえると、心の声が聞こえてくるんですって。不思議だけれど、魔法使いになれる人にはみんな備わっている力らしいの。」
話を聞いていて、なんだか素敵だなぁ、と優海は思った。
「私も、そんなふうになれるかな……。」
優海がぽつりとつぶやくと、亜美さんはにっこりと笑って答えた。
「大丈夫。優海ちゃんは、私の尊敬する先生のお孫さんなんだから。」
車は20分ほどで優海の家の前に到着した。
「亜美さん、送ってくれてありがと。私、ぜったい素敵なパートナーみつけてみせるね。」
「うんっ。優海ちゃんがどんな子を連れてきてくれるか、楽しみにしてるわね。」
夕闇の市街地に走り去ってゆく亜美さんの車を手をふって見送ると、優海はひとつの決心を胸にいだいて、玄関の扉を開けた。
「ただいまあっ!お母さんお母さん、猫買ってえっ!!」
こうしてはじまった買って買わないの論争は、その後3時間に及んだという。
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