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便せんには手書きの丁寧な文字で
『優海さんへ
13歳のお誕生日おめでとうございます。
そして中学校入学おめでとうございます。
新しいスタートを迎えられた優海さんへ、協会からお祝いとして修練士の資格をプレゼントいたします。
これからのあなたの毎日が、より幸多きものになることを願っています。』
と記されている。
一文字一文字を指でなぞりながら手紙を読み終えると、優海ははやる気持ちをおさえつつ、同封されていた厚紙に手をのばした。
そうしていま証書を確認し、優海の心は喜びの絶頂に登りつめようとしていた。
小さい頃からおばあちゃんに聞かされていた、憧れの魔法使い。
とうとうなれるんだ。私も。
きっと誕生日のお祝いに、千葉の夢の遊園地一年フリーパス券をプレゼントされても、ペットにマンチカンの子供を飼ってよいと言われても、こんなには喜ばなかっただろう。
あまりの嬉しさに我を忘れて、優海は部屋中を飛びまわる。ついさっき、お母さんに言われていたこともすっかり忘れて。
「ゆうぅみいぃっ!」
まもなく、お母さんの怒鳴り声が部屋中に響きわたった。
「!……お……母さん……?」
「お父さんが寝てるから静かにしなさいって、さっき言ったでしょう!」
「……すみません。」
部屋の入り口に仁王立ちしてぎっとこちらをにらむお母さ
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