第3話 深淵の森

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――――――――――――――― 結局、その時は逃げられたが、奴らがいるらしき場所は、既に目星がついていた。 それは、 ―――ダークウルフの群れが寝床にしていた崖の洞窟だ。 このダークウルフどもは、以前に殺り合ったことがあるが、その時は両者の痛み分け(本当はゴブリンの方が被害は多かった)で済んだ。 そんな奴らが、昨日辺りから姿を消していた。 ……奴らのリーダーは中々頭がキレる。狩りに出る際も、自分達の寝床に必ず留守番を残し、安全圏を確保するような奴だ。 そんな奴が、昨日から寝床をもぬけの殻にし、姿を消した。 これは恐らく、何か凄いものを見つけ、それについつい目が眩んでしまって返り討ちにあったのだろう。それなら、奴らの寝床だった洞窟に行けばあのゴブリンたちを見つけられるだろう。 ……まあ、ただダークウルフたちが寝床を変えただけという可能性もあるが、態々あの洞窟から出てまで寝床は変えないだろうと俺は考え、あのゴブリンの奴らを探すべく、洞窟へと向かうのだった。 ―――だが、そのゴブリンの群れは気付かない。 ただ奴らが気に入らないというちっぽけな理由だけでダンジョンに入り込む。 それが、どれだけ取り返しのつかない過ちになるのか、ということを…。 ―――――――――――――――
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