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――何故あの時、かおりを人魚だなんて思ったのか。
薄れる意識の中でぼんやりとそんな事を考えた。
昔、何かの本で読んだことがある。
美しい人魚。
美しい人魚。
人魚はその妖艶な容姿を以て、近付いてきた人間を水に引き込むのだと。
引き込んで、喰らうのだと。
「深い池なのよ。水底に大きな木が沈んでいてね」
ぱちゃん
「雅臣?聞いてる?」
ざぶ、ざぶ、
「お父さんに、宜しくね」
とぷん
…そうして少女は、再び人魚になる
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