4人が本棚に入れています
本棚に追加
『なら最初から用意しとけ』か?
それとも『今そういうのいらない』と言うべきか?
とりあえず『ありがとう、俺もだよ』とは、絶対に言わないからな。
そんな頬を染めて、期待を込めた瞳で見つめてきても、ゼッテー言わねぇかんな。
「もうっ!何か言ってよ!」
「うわっ…」
俺が黙り続けたせいで彼女はゴムベラを振りあげて、チョコが飛び散り俺のワイシャツを汚す。
ブレザーは脱いでいたおかげで被害を免れたが、白いワイシャツには茶色い点が3つ並んだ。
「おい!何すんだよ!」
俺が怒鳴ると、彼女はアワワと慌てたが、すぐにパッと笑顔を見せて、
「大丈夫、大丈夫!」
銀のボールを湯せんから外して抱えると、椅子に座ってた俺のすぐ前で膝をつく。そして指にチョコレートをつけ、
「こうすれば…、ほら!オリオン座!」
「ほら、じゃねぇ!」
服にチョコの点を足して星座を描いた彼女を、俺はつい、どづいてしまった。
それが運悪く銀のボールをひっくり返してしまい、彼女は頭からチョコを被ってしまう。
最初のコメントを投稿しよう!