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あの日、父からあなたが癌になってしまったことを聞かされた。
信じたくなかった。
治る確率が低いと分かってはいたからなのか、或いは居なくなってしまう不安からだったのかは分からない。
「ねぇ、絶対に治るよね?元気になるよね?」
と、思わず聞いてしまった。
父は静かに首を振り
「分からない」
と言った。
しばらくして、あなたは入退院を繰り返すようになった。
そして、手術の為に入院した。
そのときの病室は個室だった。
個室=もう、長くはない
それを聞いたとき、あの頃、幼い私があなたに対して「嫌いだ」と思ったことをとても後悔した。
今、こんなに大好きな人を失いたくなかった。
でも、子供の私ができることは、あなたのお見舞いに行き、笑顔で接することだけだった。
私には、それが歯痒かった。
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