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「此所に来るのも一月振りくらいかな…」
溜め息を吐きながら、小十郎の部屋へと音も無く疾駆する…
佐助の駆け抜けた後には、人の息程の音もしない…
気付く人間など居るはずも……
「何やってんだぁ…忍?」
「…っ!?」
無い筈だった…
突如として墨を零した様な漆黒の暗闇の中から、白銀の閃光が佐助に襲いかかった…
――ギィン!!!――
咄嗟に隠し持って居た苦無で襲いかかって来た閃光の正体である小刀を弾き飛ばし庭に着地する…
直ぐに閃光の飛んで来た闇の中に目を凝らす。
その時、雲にその存在を隠していた闇夜の支配者が姿を現した…
支配者の照らし出すその中に佇むは、唇の端を吊り上げ楽しげに笑みを浮かべる独眼の男…
「………独眼竜の旦那」
佐助の背筋に冷たい物が伝った…
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