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「質問に答えろよ…猿飛…」
感情の籠らない笑みを貼り付けたまま、独眼の男…伊達政宗は、問いながら佐助に歩み寄る…
「何やってんだよ?此所は、伊達の領内だぜ?You see?」
「……………」
しまった…と佐助は思った。完全にこの男の存在を失念していたのだ。
この奥州を治める碧き独眼竜の存在を…
「…相変わらず勘が良いんだね~独眼竜の旦那…?」
軽口を叩きつつも、内心はそんな余裕など欠片も存在しない。
この現状を打破する事など到底、不可能だ。
既に政宗の射程範囲に佐助は入っていたのだ…
「お前…小十郎に逢いに来たんだろ?」
「…」
既に二人の距離は、あと約5歩…
佐助が一か八かの賭に出ようと体に力を入れた……
その刹那…
「甘いんだよ…テメェは!!!」
政宗が一気に間合いを詰めたのだ。
「…っ!?」
――どすっ…――
鈍い音が暗闇の中に響いて溶けていった…
政宗の拳が佐助のみぞおちにめり込んだ。
それと同時に佐助の意識もまた暗闇の中に沈んでいった…
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