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「っ…ぃ…や…だ…離し…」
小十郎以外の相手に触れられるなぞ想像だにしていなかった…
思いを告げてこの関係になってからは、仕事でも他人には絶対に触れさせなかった…
「へぇ…泣き顔なんて初めて見るな…」
「っ…!?」
知らずに涙が溢れていたらしい。
自覚してしまえば、涙は止まらず流れ出し頬に幾筋もの後を残す…
「幸村とは、また違うな…」
幸村は感情を総てさらけ出す様に泣く…
反対に佐助は、感情を押さえ込んだまま泣くのだ…
それが、得も言われぬ程の色香を放っている…
幸村は、幸村でまた別の色香があるのだが…
「っ…ふ…やぁ…小十郎…」
普段は飄々としていて掴み所がなく感情さえ本物かどうかすら判別出来ないこの忍が本当に小十郎を想い泣いている…
「…悪かったな…唯の八つ当たりだ…」
バツが悪そうな顔をしながら佐助から体を離し、服を整えて両腕を自由にしてやる…
「小十郎なら、自室で待機してる…早く行け…」
「っ…ありがとう…」
佐助はゆっくりと立ち上がり扉に歩いて行く…
手を掛けた所で背後から政宗が声を掛ける。
「おい…小十郎に言っとけ…俺は明日から暫く甲斐に行くってな…」
政宗の言葉を聞きながら、佐助は足早に小十郎の元に向った。
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