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気付けばどこまでも白く、白い、真っ白な空間にいた。
「ここは・・・・・・」
ついでに人影も建造物の影も無い。
この不思議空間についてはこれ以上詮索しても仕方なさそうだ。かわりに気付く前の自分を思い出してみようか。
十月十七日、午後の昼下がりテスト勉強の合間に昼を食べに出た時のこと、なんとなしに信号を渡っていた。横を子猫二匹を連れて親猫(予想)が歩いていく様子に気付き微笑ましくなったのを覚えている。
たしか、四車線に亘る長い信号が点滅を始め、急ごうと思ったやさきに、さっきの親猫が子猫を一匹銜えて横を駆け抜けた。もう一匹は、と後ろを見るが少し後ろにその姿を認めてしまった。親猫が帰ってくる気配は無い、もう信号が変わりそうだ。と、手をひっかかれながらも(今思えば手にとりたかっただけのような気がしなくも無いが)急ぎ横断歩道を渡ろうとした時、横から衝撃を受けた。
そうだ、そこから気付けば“ここ”にいた。
しかし、思い返してみると車のスリップ音のような重低音のクラクションのような音が聞こえたような気がしないでもないのだが、それも定かではない。
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