第三章

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「じゃあ、俺が踏み台になろう」 名乗りを挙げたのは、体の大きな岩島であった。 岩島の上に乗った太郎は、背伸びをしてみるが、女湯の景色は見えない。 厳然と立ち並ぶ垣根の前に、誰もが絶望を感じた。 「いっそ、壊してしまおうか」 山本が呟いた。 「それは犯罪じゃ……」 「説教じゃ済まないだろうな」 「出来っこないよ」 皆は口々に答えた。 そうしている内に、七人が戻らないことに気付いた教師が駆け付けた。 「お前ら、何やってんだ」 権堂の声に、七人の時が止まった。
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