真実と戸惑い

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・・えっ?・・・ すべてを理解した私は思わず身震いしていた。 しいちゃんからはまだメールの返事がこない。 コンコン・・・ 部屋をノックする音が急に聞こえたせいで、私の全身が総毛立つ。 きっと幸雄さんが私の様子を探りにきたのだろう。 コンコン・・・ ノックの音はだんだん大きくなっているような気がした。 どうしよう、このままじゃ私・・、いや、私たち・・・ 自分が極限の状況に置かれていると判断したにも関わらず、 意識は動揺してパニックに陥り、むしろ朦朧としてきている。 そういえば、さっきの紅茶に何か入れられたのかも・・・ 実際にそうだったのか、そう考えてしまったせいなのかは定かではないが、 全身の力がすっかり抜けてしまいそうな感覚が一気に押し寄せてきた。 コンコンコン!・・・ ノックの音はいよいよ勢いを増している。 もうダメ、体育の授業でさえ貧血でしょっちゅう倒れてたのに。。 そんなひ弱な私が、こんな状況に耐えられるわけないじゃない!! ドンドンドン!!!・・・ 最後に強く叩かれたノックの音でノックアウト。 私は失神していく自分の感覚に抵抗するのをやめたのだった。 ぼんやりとした視界の中にかろうじて飛び込んでくる景色。。 いつの間にかクローゼットは完全に開け放たれていて、 目の前には大きな猫のぬいぐるみが立っている。 私は最後の踏ん張りでその猫の腕にもたれかかろうとしていた。 いやはや、猫の手も借りたいとはまさにこのことだろう。 私って、死に際に結構うまいこと言うんだな・・・ そんなくだらないことを思いながらも、 私の自我は急速にフェードアウトしていく。 「ありゃりゃ・・、やり過ぎたかにゃ?  なっちゃん、大丈夫にゃか?」 なぜか猫のぬいぐるみがしいちゃんの声でしゃべっている。 次第に薄れていく意識の中で、 私はそんな奇妙な幻覚を見ていた。
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