プロローグ

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俺は逃げていた。 人混みを掻き分け、ただひたすらに逃げていた。 人からは罵られたり、叫ばれたり、俺を中心に言葉を投げてくるがそんな事はどうでもいい。 そんな人からの言葉に耳を傾けるほど余裕は無かった。 ただ今は、止まればすぐにでも膝から落ちそうな足を無理に前にだし 苦しく息も儘(まま)ならない呼吸も、気にせずに走っていた。 止まってしまったら確実に。 ーー殺されてしまう? なんでそんな風に思っているんだろう、俺はなんで逃げているんだろう。 ーー何から? 訳が解らない、なんで他の人からは見えないのか。 なんで俺だけなのか、意味が解らない。 ーーあれはなんだ? 何なんだよ、なんで俺がこんな目にあってるんだ。 ただ一言言えるならあれは。 ーー人間じゃない?
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