*Non-every day

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「──綺麗」  気付いたときにはその単語を口にしていた。  美少年を前にときめくとかそんなのではないのだ。  例えるとすれば、美しい絵画に出会って思わず感嘆をもらすような、そんな感覚だった。 「……」  対してその『綺麗』な少年は、真っ直ぐ見つめてくる実景の目から視線を反らすことなくそっと呼吸をした。  嫌に心臓がざわついた。  知り合いでは無いのに何故か知っているような、けれどそれが思い出すことが出来ずにどうもこそばゆい。 「おーいっ!! なに見つめ合ってんだよ! お前等知り合いか?」  一人置いてけぼりにされた少年はたまらず二人の間に割って入り、実景に突き出されていた『落とし物』を強引に奪い取って実景のおでこに痛くない程度に押しつけた。 「お前もボーッとしてないで、コレ! お前のじゃねぇのかよ」 「え……あっ!!!!」  やっと正気に戻ったとでも言うようにおでこに押し付けられたら物──両手に収まる程の木箱を視界に入れると、これまた慌ただしい声を出して少年から受け取った。  arkからの手紙に入っていたものではない。 これは実景が幼いときに離別した父の、唯一の手掛かりである。  一度胸に抱いた木箱を再びゆっくりと視界に入れると、そのまま今度は前に並ぶ二人の少年を見て泣きそうな瞳で微笑んだ。 「ありがとうございます……! これ無くしたら死んじゃうとこでした!」 「んな大袈裟な」  背の低い方の少年は呆れたように笑うと続けた。 「俺は赤星竜。 こっちのかっこいいのがエリクな」 「……緑川エリク。 驚かせてすまない」 「み、実景! 桜月実景です! 中学二年生で──」 「お前も同い年か!」 「……え?」  竜の突然の言葉に、実景は目を見開いた。  彼の言葉に寄れば、竜も恐らく中学二年生なのだろう。  実際は年下かとも思ったが、男子は成長も遅いと言うし納得はできる。  だが──。 「ん……?」  実景が驚きの目線を投げかけると静かに首を傾げたエリクに対しては、完全に年上──いや、大人なのかとも想像していた。  確かに竜は“俺達もarkへ”と言ってはいたが、なにしろarkは高等部まであるのだから無理はない。
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