背中(前編)

4/9
前へ
/25ページ
次へ
「金嶋さん。昨日のアレ 知りませんか?」 後輩から訊かれれば 昨日の彼女の動きを思い出し 『これ?』とファイルを手渡す。 「なんで分かったんです?ありがとうございます。」 いえいえ。 軽く頷くと 彼女は急いで部屋を出ていった。 のんびりと彼女の出ていったドアを眺めていると 後ろから声を掛けられた。 「金嶋さんって 本当に頼りになりますね。」 振り向くと後輩の笹沼と長岡がニッコリと私を見ていた。 「後ろから見ていても頼りがいのある背中ですよ」 と 口元を緩めながら話す長岡。 『そんなに大きくない背中だと思っているんだけど?』 私が冗談で返すと笹沼が私の背中に抱きついた。 「あったか~い♪先輩の背中♪」 万年冷え性の笹沼はしょっちゅうこうして抱き付く。 まぁ…可愛い後輩だから許すんだけど。 「いいなぁ…。俺もしてみたい。でも 俺がするとセクハラだから出来ないや。」 「勿論♪先輩の背中にギュッて出来るのは私だけですからね♪」 長岡の残念そうな表情に笹沼が舌を出す。 私はただ ニッコリと笑うだけ。 .
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加