背中(前編)

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「金嶋さん。ちょっと相談があるんですが…」 ある日 長岡が元気なく話し掛けてきた。 『ん?私に?』 「はい。」 のんびりと答える私を見てもニコリともしない長岡。 よほどの事だろうか? 『取り敢えずランチに…でいいかな?』 「ありがとうございます。」 長岡は一礼した後 自分のデスクに戻って行った。 私は隣にいる笹沼に目を向ける。しかし笹沼は不思議そうに首を傾げただけだった。 『長岡の悩みを聞くのは私じゃなく笹沼じゃない?彼女でしょう?』 多分私は自分の気持ちを振り切る為に笹沼に聞いたと思う。二人は恋人だと確認したくて…。しかし笹沼の返事は軽かった。 「金嶋さん。長岡君には好きな人がいますよ。なんで私が長岡君の彼女なんですか?私の彼はもっとカッコいいんですよ♪」 .
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