背中(前編)

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『…は…?モデル?』 頬を少し赤らめながら長岡が話すには… 元々学生時代から油絵をしていた長岡に この度恩師が個展を開く事になり 一枚描いて個展に出す…と誘われたそうだ。 「でも…モデルになるものがなくて…。来月には渡さないといけないんです。だから…金嶋さん!お願いします!」 私の前で頭を下げる長岡。 『絵のモデルって感じじゃないよ。私。』 「いいえ!先輩を描きたいんです!」 やんわりと断りを入れたが長岡には通じないようだ。 『まさか…ヌード?』 「違いますっ!!!!」 真っ赤になって否定する長岡は面白かった。 頼られたのならば仕方ない。 『いいよ。だけど綺麗に描かないと…分かってるね?』 私が意地悪く答えると長岡は嬉しそうに笑った。 「ありがとうございます!!!!」 ああ…この笑顔に一目惚れしたんだったな…私。 .
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