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シーーーンと静まり返ったオフィスの中で、
皆が呆然と私と東雲リーダーを見つめている。
降参宣言をしようとしている私の前で、
城田君と紫優ちゃんが、ガッツポーズでエールを送る。
もう...無理ぃ~~
泣きそうなのを堪えつつ、もう一発起死回生を狙ってみた。
「確かに....確かに..声大きかったかもしれません!!
場を乱したことに対しては、謝罪します。
それに私は第二営業部で、ただの事務員でした!!!
営業マンじゃないです!!けれど!
同じ場所で働いていた仲間の成長を称えるのに、
立場とか関係ないと思うんです!
仕事で人を差別するのは良くないとおもいます!」
い....言っちゃったぁあぁ~~。
腕組みをして黙り込むリーダーに、
しょぼいジャブでも、クリーンヒットしたのかと思い、
拳を作って小さくガッツポーズを作った。
「ふーん。
天下の第二営業部の事務員なんかやると、
口だけは達者になるみたいだな。」
「んな!」
「5分。
お前のせいで全体が5分のロスだ。
文句は、拘束時間を終えてからにしろよ」
「昼に訴えに行きます」
「昼は、拘束時間だ、それぐらい覚えとけミジンコ」
「...ミジンコ??ミジンコって誰のこと?」
遠くの席からひそひそ声が聞こえてくる。
今まで私を認識していなかった経理部の人々の視線が
私へと向いた、「仕事します!!」
隠れるように、がたんと席に座り入力し始める。
経理部の多くの人間が、私のニックネームを知ったところで、
舞の一世一代の勇気を振り絞った、航海は終了。
見事なまでに、舞のミジンコ船沈没です。
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