Kiss 1. Le Petit Prince (星の王子様)

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「あ、はい」 「日本を発つ直前に、両思いになったそうですよ」 松岡さんが、相葉さんにひっそりと漏らした。 「あらら、そりゃ大変だねえ。逢いたいでしょ?彼女に」 「ええ、それは勿論」 言葉を濁そうかと思ったが、ぼかせば、ぼかすほど、あいつに会いたくて堪らなくなりそうだった。 時差の関係で、アイツと会話を出来る時間の殆どは仕事の真っ最中で、それでも、どうにか時間を見つけては電話をかけていた。 声を聞いては、もどかしいほどに、素直じゃないアイツの言葉を聞くたびに、愛おしくて、今すぐ抱きしめたいという感情が沸き起こってくる。 「付き合いたてのカップルの愉しい時間が、いきなり遠距離恋愛ってね、 小栗君も何でそんな辛い恋愛を選んだの? こっち(リヨン)にきてから探せばいいのに」 松岡さんが、尋ねたごく普通に考えるであろう質問に、素直な言葉が口から溢れだした。 「アイツじゃなくちゃ駄目だったんです。 たとえ遠距離になったとしても、 この先どれぐらい逢えなくても、 アイツの代わりなんか何処にもいない。 そう思えたから、想いを告げました」 「あつあつだなあ、ごちそうさま」 正直に心のうちを告げた。 先ほどの松岡さんの話に感化され、自分の感情を思わず披露してしまったことに対して、恥ずかしさが急激にこみ上げてきた。 それを押し隠そうと、目の前の冷えたシャブリの注がれたフルートグラスを掴み、ぐいっと乱暴に流しこむ。 「日本に残した彼女のことは心配?」 .
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