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☆☆☆
「じゃ、佐藤さん、お先に」
同じチームの、仲間がデスクを離れていった。
「舞ちゃん。ファイト!!」
ガッツポーズをして、
紫優ちゃんが、私を置いて席を立ち去った。
残るは...
キツネリーダーこと、鬼の東雲リーダーのみ。
長い足をデスクの上に乗せたまま、
昼過ぎからずっと、机の上に山積みになっているファイルを睨んでいた。
残業.....
って、私は会社にあと何時間居なければならないのだろう....。
体力の限界まで使い切っているカラダに鞭を打ち、
欠伸をかみ殺しながら、東雲リーダーの席の前に立つ。
「あのおおおおお。
やはり、残業.....
するんですよね?」
恐る恐る、上司に尋ねた。
ファイルをう雑多そうにずらすと、
眉根を寄せて私を見上げた。
「あ?お前まだ居たの?」
「.....は?」
お前が残業させるから残れと!
残れと!!
言ったんじゃないかぁ?!!
頭の先から、蒸気が立ち上りそうになりつつ、
震える唇を強く噛みしめて、
出来るだけのスマイルを見せた。
「り、リーダー、わ、忘れちゃったんですか?
今朝、今日残業させるから残れって、、
仰ってましたよぉ~」
思い出したのか、顔色を変えて、
「....ああ、オレ流の冗談な」
ぼそっと、零し、またファイルに視線を向けた。
「....じゃ、帰ります!」
半ば切れ気味になりつつ、
デスクを離れようとした。
その途端、
手首を掴まれた。
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