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真っ暗な資料倉庫に入って行き、
リーダーが振り返る。口元にはいつもの笑み、そして私の背後のドアがパタリと閉まった。
真っ暗な中、東雲リーダーのメガネがキラリと光った気がした。
すっと伸びた手が私の肩越しを…
「ひえええええええ!!!!
セクハラ!!!!!!!」
「は?電気点けろミジンコ」
「ふえ??」
「誰がセクハラすんだ?」
「いえあのその」
「アホか
決算報告書のバインダーを過去10年分出して、其の中に、
税務署に提出した書類が詰ってるから、それをスキャニングしてPDF化していくから」
淡々と仕事を始める上司に、今から卑猥な行動を待ち構えてしまった自分に恥ずかしさが込み上げる。
咳払いをして、真面目モードに切り替えた。
「それって、もう既に終ってるんじゃないんですか?大分前から決算報告等の書類は、デジタル化してたはずですけど」
誰もが知っている事実を告げた。
第二営業部にいた頃から、全ての書類はPDFで保存されている。
年末の決算報告書ならなおさらのはずだ。
「抜けが合ったんだと、完全にデジタル化したのは3年前からで、其の前の7年分って言うのは、後からやっつけ仕事的にまとめたものだから、いざ使おうとしたら、資料として役に立たない代物ってことだ」
「何処が抜けてるんでしょうか?」
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