Kiss 1. Le Petit Prince (星の王子様)

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「さあ?そこまで親切に上の人間は教えてはくれないからな、 全部やり直せって事だ。 10年分の税務署とのやり取りなんか、 今頃何故まとめろというのかも、下っ端は知る由も無い。 ただ言われたことをこなす、それだけじゃないか?」 「やるからには理由を知りたいものですけどね」 「理由?そんなものを勘ぐると、 ろくな事にならないぞ、ミジンコちゃん」 鬼上司を睨み口を尖らせた。 「ミジンコって呼ばないでください」 「はいはい。ミジンコ」 「んなっ!!!」 なんて....最悪な上司だ..... フォルダーから取り出した、株主資本変動計画書を取り出して、 スキャナーの上へと押し当てた。 青い光が零れる。 一枚一枚を紙からデジタルへと変える作業なんて、 一体どれほど時間がかかるのだろう... 今日も家に帰れないのではないかという 一抹の不安を抱き始めた。 「上が動くんだろ、」 「え?」 ぼそりとこぼした言葉の意味が解からずに聞き返した。 「過去10年分を今の時期にデジタル化にしろなんていう指示出してる位だ。 一体何に使うのか知らないが、上層部が大移動するのかもしれない。 まあ、実際どうかはわからんし、下っ端には上が動こうが対して仕事は変わらない。 ま、ごく単純に、内部監査のチェックかもしれないしさ」 「監査って、東雲リーダーもしかして! お...横領とかしたんですか?」
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