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「…も」
「え?」
「あたし…もひなちゃん好き…」
嗚咽混じりの言葉は途切れ途切れになってしまう。もっとうまく伝えたいのに。顔が見えないんだからせめて、声で言葉で。
そして、スマホの向こう側の陽向の声も呼吸も一瞬止まった。
(え、嘘。届かなかったかな…)
不安に駆られた次の瞬間。
「やったーーーーーーーーっ」
雄叫びに近い声が、届いて、思わず詩信はスマホを耳から遠ざける。
「俺、すごい嬉しい。ホント嬉しい。今まで生きてきた中でいちばん嬉しいかも…っ」
陽向の声も、潤んでいたように聞こえた。
「あー、俺仕事行かなきゃ。夜電話する。絶対する。いっぱい話したいことあるんだ」
時間とのせめぎ合いに陽向はもどかしそうにしながら、早口で言う。
「う、うん…」
「しーちゃん、メリークリスマス」
ありきたりな囁きを残して、陽向の声が断たれた後も、詩信はまだほわんと夢見心地のままだ。
(そ、そうだ。直ちゃんにメール…)
詩信は急いで、親友宛のメール画面を開いた。
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