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「ひゃああああああ」
項に感じた熱い衝撃。驚いた直は、公園内に響き渡るような声を上げて、ベンチが動く程のけぞった。
「あぶなっ、何やってんの」
背中に腕を回されて、直の転倒は免れる。けど、月征の顔はまだ近くにあるし、直のパニックは収まらない。
「だ、だ、だって月征先輩が…。最近キスもしてくれないのに、急にそんなとこにキスされたら…」
うわ、私、何口走ってる。慌てて口を抑えても、言ってしまった言葉はしっかり彼の耳に届いてるし、取り消しも出来ない。
「あー、そういえばそうだね」
と直に指摘されて、今更気づいたかのような呟きを、月征は旋毛を掻きながらする。実際は陽向とあんな夢見たあとで、直に触れるのはなんだか自分の気持ちを誤魔化すみたいに思えて、敢えて自制してたのだが。
(もう、リミッター解除してもいいかな)
と言うか、クッキー貰った時点で、とっくに臨界点突破してるけど、でもどうせなら。
いつもと違う直が見たい。
「寂しかった?」
「っていうか、私がばかだから呆れてしてくれないのかと、ずっと悩んで…」
「悩んでるくらいなら、言えばいいのに」
「な、何をですか」
「キスしてください、って」
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