Winter Lovers

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「い、言えるわけないじゃないですかーっ。そんなワガママ」 直は、真っ赤になって月征の言を否定する。そんな顔でそんな事言われたら、意地でも言わせてみたくなる。従順に月征の行動を受け入れるだけなく、直の方から求めて欲しい。あ、俺のがよっぽどワガママだ。 「何で。言ってよ」 首筋に手をあてがったまま、額と額をコツンとくっつけると、直は余計に恥ずかしそうに視線をあちこちに彷徨わせる。角度を変えれば、簡単に目的の位置には届くけど。 今は過程を楽しみたい。 促されて、直は練習でもしてるのか、もごもごと口を動かしていたが、やがてぶるぶるとかぶりを振って、月征に言う。 「や、やっぱり無理です。そんなワガママ言って嫌われたり呆れられたりしたくないし」 自分の欲求より他人の気持ちや立場を優先。出しゃばらないとこは直らしいと思うのだが、彼氏としては物足りない。 「早川、ふたつ誤解してる」 「へ?」 「俺が早川のワガママのひとつやふたつで、簡単に早川への気持ち、変えると思ってるの? それに。俺が、早川のワガママ叶えられないとでも?」 して欲しいこともして欲しくないことも、俺には正直に言って。 理詰めで諭して、逃げ場を封じると、直は観念したように瞼を伏せる。 「き、すしてください…」 「いいよ」 快諾して月征は直の唇に顔を近づけた。
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