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参道を半分くらい進んだところで、直はふと後ろを振り返る。そこで目にした光景に、自然と笑みがこぼれて、隣の月征のコートの袖を引っ張った。
「月征先輩、あれ見てください」
小声で言い、後方の彼らに気付かれないようにふたりの繋がれた手を指差す。
「あ」
「良かった、ですよね」
月征に少し気を使ってか、直は控えめに同意を求める。
「そうだな」
この先、乗り越えなきゃいけない壁は、自分たちにも陽向たちにも、沢山あるのだろうけど。
それでも。
親友の恋の成就に、今は何のわだかまりもなく、拍手を送れる。1年前は想像もしなかった心の変化に驚きながら、月征は去年と同じ道を踏みしめた。
「やりぃ、俺大吉」
「あたしもあたしも」
「私、中吉だ。あれ、月征先輩は?」
くしゃっとコートのポケットにしまわれた御神籤を直は見逃さなかった。
「…凶」
「うわ、正月早々最悪じゃん」
「直ちゃん、こっちにおいで。一緒にいると、運が悪いの移っちゃうかもよ?}
「うるさい、俺はこんな非化学的なもの信じねえよ」
「じゃ、じゃあ月征先輩、お参りして厄除けしないと」
直は必死にフォローしようと、参拝の列に月征を引っ張る。後ろを気にしながらの歩みだったため、石畳に躓いて、そのまま前方の人にぶつかった。あ、あれ、何この既視感。
「ご、ごめんなさい」
「早川、何やってんのおま…」
よろけた直の腕を背後から支えた月征は、驚いたように言葉をつまらせた。
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