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男たちは浅黒い肌に金色に近い髪色、サングラスをしてるから、顔はわからないが、いかにも軽そうなちゃらそうな奴らだ。
陽向の登場に、いかにも面白くなさそうな声で。
「…誰、アンタ」
背の低い方の男が、グラサン越しに陽向を睨めつけてくる。少し酔っているのだろうか。サングラスの下の頬骨の辺りに赤みがさしているし、呂律も怪しい。
「ごめんねごめんね。この子俺の連れなんだ」
「ふーん」
と、サングラス越しに背の低い方のオトコはじろじろ陽向を見てくる。
「随分、綺麗なお連れさんで」
ひゅーっと、口笛までならしてから。
「ちょーっと貸してくんない? お茶1ぱい飲んだら返すから」
貸して、って詩信はビーチボールや浮き輪じゃないし。そもそも、この青ざめた顔見りゃ、わかりそうなもんだけど。
死ぬ程嫌がってる、って。
ふつふつとわきたつような怒りは、腹の底に収めて、陽向はすっとぼけた口調で言う。
「でもこの子…」
「何だよ」
「海外帰りで、赤痢の疑いあるんだけど…」
赤痢。男ふたりの足が、半歩下がる。
「熱もひどくって、ほら、今も青ざめてるでしょ? 早く病院連れて行きたいんだけど、親がここに遊びに来てるから、車借りに来たんだけど、なかなか会えなくて。お兄さんたち、車? ちょっと貸して貰える?」
「いやいや俺たち電車だから…」
あとは早かった。さーっと波が引くより早く、後ろ足に遠ざかり、ある程度バックしたら、踵を返して、人波に消えてく。
彼らの姿を追えるだけ追いかけ、視界から外れたところで陽向は言った。
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