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「もう、平気だよ、しーちゃん」
「すっごい不名誉なんですけど」
「あ、やっぱり? 結果オーライってことでゆる…」
陽向は笑ってごまかそうとすると、詩信はすっと立ち上がった。
やべ、殴られる? 俺、ドリンク持ったまんまで、両手塞がってるんだけど。
けれど、詩信の行動は陽向の想像を遥かに超えていた。
陽向の肩に詩信は両手を伸ばしてしがみつく。
「ひなちゃんのばか…っ。こわかった…」
「…う、うん」
ばかと罵られても、陽向は天にも昇る心地だ。
だって、今こうして陽向の肩に顔を埋めてるのは、詩信なのだ。
(すっげー優越感…)
あー、もうぎゅーってして、ちゅーってして、「しーちゃん、可愛いーっ」って叫びてえ。
けど、焦りが禁物なのもわかってる。
「しーちゃん…ごめん…」
両手の不自由さを恨みつつ、陽向は詩信が離れるまで、じっと立ち尽くしてた。
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