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なにも目に見える鈍器や刃物ばかりが「凶器」ではない。
――彼女は時たま”言葉の凶器”を振りかざす。ゆっくりと、歯痒い痛みを与えるべく。
言うなればそれは「打算的な凶器」。
「死ね」
ほらまた銀色にギラリと光る刃を取り出してきた。僕からは別段なにも言うことはない。あえて一言心中にてモノローグするなら、そこまで言われることをした覚えはない。
「お願いだから」
おっ、「打算的凶器」が振り上げられたぞ。さて、ではでは斬られる心構えをするとしますかね。
「……まだ、待って」
うっぐ……今回もまた、鈍く、痛む。
時々、凶器の成分にどれほどの損得感情が含まれているのか考えてしまう。もしかすると僕が一番怖いのは、彼女の刃物を受け止めてあげられなくなる日が来ることなのかもしれない。
P.S.
今日もまた僕はキミを愛していた。
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