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常に柵に囚われていた。
自分ってなんだろうとか愛するってなんだろうとかを漠然と考えてみたりする。答えは出ない。
確かなものをなに一つ見つけられないまま、ただ確率だけが毎日のっぺりと眼前に佇んでいる。そしていつもリスクとリターンの狭間で淡い光が輝く。それは有態な幸福。欲しいけれど、欲してはいないもの。変哲ない幸せの柵が、俺の中で暴れる「俺」を縛していた。
――違うんだ。なにもかも。俺が手にしたかったのはこんな日々じゃなかったはずなのに……過去と繋がっている頑丈な鎖が千切れない。ただ、わかっている。こんなのは間違っていると。
俺が本当にすべきことは――――。
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