【earth】についての中間報告

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 その青い惑星には理解に苦しむ考え方が常識として根付いていた。  なんでも、生き物は須く天寿をまっとうするべきなのだそうだ。  つまり自然に死が訪れるまではのうのうと生き続けることこそが美学であり、また義務であるらしい。  じつにわからない。どうやら我々の星とは大きく歩んできた歴史に違いがあるようだ。文明の開きも凄まじいことから、この惑星に暮らす者の考え方はヒューマニズム分析資料すら残っていない極めて旧世代のものではないかと推測する。  報告としてはここで終わりだが、前文だけではどうにも味気ないため、余談として青い惑星の住人から教えてもらった金科玉条の哲学を最後に記したいと思う。  『命は自分のためにある物ではないのだから、いつ捨てるかなど決めていいはずがない』  ――――ならいったい命は誰のための物だというのだろうか? 興味は尽きない。
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