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最初からそこにいたような様相で、喪服姿の少女は、ちょこんと椅子に腰掛けてコーヒーカップを片手に優雅に。
「おやおや、死にかけたわりには、ずいぶんと元気そうじゃないか、お兄ちゃん」
シィは、不機嫌な表情で言った、俺の傍らでエロゾンビこと、ミィがわなわなと震えていた、悪戯が見つかった子供みたいに辺りを見渡して、半歩下がり私は関係ないですよーと口笛なんぞ吹くまねをしてごまかそうとする。
「まぁ、こんな老獪なババアなんて、のけ者にして若いもの同士、仲良くするのは一向に構わないけれどね、けれどだ、血の繋がりもないのにお兄ちゃんはない、そこは、訊兄だろう!! うん!! 近所のお兄さんみたいで好感触だ!!」
力一杯、握り拳を振り上げ、ネクロマンシーこと、シィは高らかに宣言した。
部屋中に妙な空気がサーッと流れこみ、いたたまれなくなったのか、シィは握り拳をそっと下ろし、ゴホン、ゴホンとわざとらしく咳払いをして、ミィはお兄ちゃんがいいと密かな対抗意識を燃やしていた。
ここには、アホしかいないのだろうかと思ったけれど、言わないほうがいい。
「老獪のババア?」
見た目、10歳くらいの幼児体型のシィには、不釣り合いな表現とただ、単純な興味から、ポロッと言葉が落ちた、そもそも聞かないといけないことはたくさんある、右足や身体の傷、ここはどこなのかなどなど、お兄ちゃんだか、訊兄だかで議論してる暇などない。
「気になるか?」
気まずさから、逃れるようにシィが言う、見た目、10歳の幼児体型のくせに、妙な貫禄や迫力にゴクリと、生唾を飲み込んだ。
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