例えば……

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ある日、突然、貴方はゴーレムになりましたと言われて、素直に頷いて、そうなんだと納得できる奴は、アホだろう。 けれど、もしも俺が、その当事者になったらなんて考えたこともなかった、所詮はフィクション、物語の世界だ、テレビの画面越し、雑誌の文面、どこか知らない人達が空想を掻き立てた物に過ぎない、そう、現実と空想は違う、線引きをしないといけない。 非現実的な出来事に遭遇して、右足を切り捨てられても、ネクロマンシーと名乗る少女に助けられて、ゾンビになって生き返ったという、助手の女の子に介抱されても、何事もなく普段通りな日常に戻れると心のどこかで思っていたし、ゴーレムになるなんて、それこそ予想の範囲外だ。 目の前に広がる現実と、俺の中の常識がギチギキと音をたてて軋み、崩れていく。 「言っただろう? このまま生き残っても、これから先、死んだほうがましって思えるかもよと」 「最初から、俺をゴーレムにしようとしていたのか?」
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