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絡め捕られてる気分だった、さまざまな要求、謎、解答を突きつけて、逃げ場を無くしていき、まるで、蜘蛛の巣に捕らえられた獲物が糸に絡まり、雁字搦めになっていく、そして今度は名前だ。
「その前に俺の質問に答えろよ」
「そこまで、急がなくていいだろう? ついでに言うけれど、君が襲われてから、三日経過していると言ったら?」
「警察が動き始めてもおかしくないか」
ニュースや、新聞でも大々的に報道されているだろうし、真っ二つに切り裂かれた自転車や大量の血痕から、連続通り魔の被害者にあげられていてもおかしくない、最悪、死亡したと予測されている可能性だってある。
「そういうことだ、でも、これからお互いに仕事するんだ、僕のことくらいなら、話そうか、約束は守る主義なんだ」
シィは、俺の答えを待たずに語りだした、マイペースな奴だ。
「君は、不老長寿というのが、可能だと思うかな、不死の身体になれる薬を偶然、そう突発的な閃きと偶然によって開発してしまったら、君ならどうしたい?」
「まさか、お前?」
老獪のババア、シィは自身をそう鼓舞した、もしもだ、その薬があったとして、ただ、そこにあるだけなら薬の効果はわからない、そう、誰かに飲ませて実験したらいい、もしも自分自身に試したとしたら、辻褄は合うが、しょせん、結果論だ。
「そうだ、今、君が思っている通りだ、僕という、ネクロマンシーは不老長寿の薬を完成させ、自分自身に投与した、そして出来上がったのが、この身体さ、死ぬことも、老いることもない、傷すら負わない、かれこれ二百年近くこの十歳児の身体だよ、つまり、若返り過ぎたんだ、どうだい? これで、満足かな」
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