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例えば、将来、宇宙飛行士になるとか、パティシエになるみたいな途方もない、夢を小学生の低学年の頃、想像したことはないだろうか?
中学生になって、新世界の王者や女王なるだとか、前世の記憶が蘇る、いわゆる中二病を患う奴がいたかもしれない。
俺、貝塚訊[カイヅカ、ジン]にもそんな時期があったように思う。
誇大妄想、自意識の肥大よる、現実からの逃避、夢見がちな連中がいたとして、そいつらを馬鹿馬鹿しいと笑っていたのか、関係ないと傍観を貫き通していたのか、正直、うろ覚えだった。
[連続通り魔の事件の犯人はいまだ、逃亡中、警察は……]
ーーープツンーーー
テレビのリモコンを操作して、電源を落とす、真っ黒になった画面をぼんやりと眺めた。
高校生になって、親元から離れ、一人暮らしを初めて、一年間とちょっと、ボロアパートの一室の中央に置いかれた、ちゃぶ台には、数十枚の原稿用紙が重ねられて、小説なんぞ、書く、高校二年生の俺がいた。
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