例えば……

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「うむ、さすが僕の助手だ、指示がなくても行動するとは、誉めてやろう、よしよし」 シィが白々しい口調でミィの頭を撫でている、ミィも誉められて嬉しいのか、エヘヘと口元を緩めていた。 見た目、十歳児の幼女[二百歳のババア]が、年上の女の子[ゾンビ]を誉めているという光景に微か違和感を感じないわけじゃないが、微笑ましいと思えてしまう、ただ、シィの面白いおもちゃを見つけたという、悪意いっぱいの笑顔が微笑ましい光景を台無しにしていた、もう、罰ゲームじゃないか。 「さて、新しい名前を、発表しようか」 シィは、ニヤニヤと笑いながら、ミィから受け取った用紙を覗き込む。 「一生懸命、考えたんですよ、お兄ちゃん」 悪意の欠片もない、満面の笑顔のミィ、こういう態度だと、文句が言いにくい。 「いや、名前を、捨てる意味がよくわからないだが……」 「ん? それは、決まっているだろう? 君が化物、つまり、僕達の仲間になるんだ、人間だった頃の名残を少しでも捨てておいたほうがいいさ、もちろん、嫌ならいいけど」 「お兄ちゃん、私の考えた名前じゃ嫌なんですか?」 二人の視線が突き刺さった、化物になった、俺は、ゴーレムになった、その事実が未だに受け入れきれていない、俺がいた、非現実的な現象をこの短い時間でいくつも目の当たりして、慣れてきた覚えがあるけれど、未だに化物になったという、実感がなかなか、湧いてこない。
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