例えば……

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往生際が悪い、そう言われしまうならそうだ、漫画や小説でよくある展開、主人公が敵に襲われ、窮地に陥り、見知らぬ女の子に助けられる、物語では使い古された手法だろう。 いつだって、どこでだって、物語は唐突に始まるものだけれど、何度も言うように、現実と幻想は違う、あの茶舞台に広げられた原稿用紙の中だけで充分だった、書店に並べられた小説や漫画を買って読んでるだけで満足していた。 事件や事故に巻き込まれみたいと思ったけれど化物になりたいなんてなりたくない、異能の力なんていらない、恐ろしいだけだ、正義感はあった、でも、誰かを助けたことはない、喧嘩をしたことがあった、でも、一度も勝てなかった、ファンタジーな世界を救う小説を、物語を書いてみても、途中で嫌になってやめた。 中途半端で、いい加減な結果しか残さない、そんな自分自身に嫌気がさしても、これが俺だと納得していた。 俺が、その舞台に立つことはあまりにも不釣り合いで、中途半端だからだ、主人公になんてなれるわけがない、そう思った瞬間だった。 ーーードクンーーードクンーーードクンードクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン、心臓の辺りに貼られた、お札が激しく鼓動した、皮膚が渇いてボロボロと剥がれ破片が落ちていく、剥がれ部分からドロリと泥のような物が溢れていき、身体を覆っていく。 「うぐぅ!! ああああああああ!!」 胸の熱い、意識が飛びそうになった。 「訊!!」 異変に気がついた、シィが叫び駆け寄って来た。 「拒絶反応!? 訊!! 意識をしっかり保て!! 喰われるな!! 」
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