白黒……

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振り返って、真っ先に目に飛び込んできたのは、真紅のドレスと左右に結われた漆黒の黒髪の少女、いわゆる、ツインテールというやつである、この白黒に彩られた街並みではよく目立ち、その反面、すらりと伸びる腕や脚は、この世界に溶け込むような純白だった、ただし右足が俺と同じように黒い霧のような物に覆われていた、その少女は。 「まるで、漫画に出てきそうな肌の色、人間じゃなくて人形のようだ、ではなくて? 」 冷笑をたたえながら、蔑むような視線を投げかけて、俺の思考を読み取ったような台詞を吐く、どうにも友好的な態度じゃなかった。 「…………お前は、何なんだ、ここはどこだ?」 苦し紛れに聞いてみると。 「さぁ?」 少女は両手を、仰々しく広げて小首を傾げながら。 「あえて、言うならここは貴方の精神世界とでも言うべきなのかも、この白黒の世界は中途半端、白黒つけられない貴方らしくありません?」 「……精神世界?」 「王道ではないかしら、自分の内面に入り込むなんて、少年漫画じゃ定番でしょう?」 「…………」 上手い受け答えが見つからないまま、無言を返す。 「でも、私の出自やここがどこかなんて貴方には関係ないでしょう?どうせ、貴方は私に喰い尽くされる運命なのだから」 いつの間にか、間合いが詰められて、少女の鋭い拳が腹部に叩き込まれていた。
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