白黒……

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「ええ、貴方の力を喰らわせてもらって、ずいぶんと人間に近づけた気がします」 少女の肌は、俺を殴りつければ、殴りつけるほど、純白だった肌が瑞々しく、人間の皮膚のように着色されていき、そのかわりに俺の肌は白く、脱色されていた、まさしく、食い尽くされていく、もし、全て食い尽くされたらこの世界に消えるのだろう、この白黒の世界の一部になる。 「これで五割、程度、まだまだ先が長い、でも? けれど? 時間なら、無限大にたっぷりとありますとも、この白黒の世界は貴方と私だけだもの、助けなんてこない、さぁ、咀嚼してあげましょう、喰らい尽くしてあげましょう」 「………………ハッ!!」 笑う、不敵に大胆に鼻を鳴らすように、相手を挑発するように嫌味を込めて精一杯、出鼻を挫くように俺は笑った。 「……なにかしら?」 訝しむように、少女が上目遣いで覗き込んでくる、その表情は不機嫌な色に染まっていた。 「不可解、不可解なのですけど、もしかして、逃げられるとでも? 貴方の生命力がゴキブリ級でも逃げられる保証なんてないというのに? どうして、そこまで不敵な笑みを浮かべられるのか、不可解です」 「いや、俺は、戦士になれないけど、策士になれるかもなって」 ぐっと、頭を後方に仰け反らせて奥歯を噛み締める、そのまま少女と俺の唇を無理矢理、重ね合わせた。 「……………???」 捕食者として自信、絶対に逃げられないとわかってるからこそ、そこが弱点になり、突破口になることに少女は考えもしなかったのだろう。俺を拘束する四本の腕に込められていた力が緩んでいることに殴られいる最中に気がついていた、だからって、無理に身体をよじって逃げようとすればきっと警戒されてしまうことは明白だった、 少女がもっとも油断してしまう、きっかけを作る必要があった、例えば、獲物が予想外の行動に出るなど、少なからず興味を示すことができたらいい。
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