白黒……

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「さっさと選んでください、早く潰して喰らってあげます」 苛立たしげに腕をゆらゆらと揺らして、少女が催促してくる、何がなんでも選ばせるつもりらしい。 「なぁ、和解はダメなのか?」 「和解?」 少女の身体がゆらりと揺れた、造られた四本の腕が心情を表すように震え白黒の建物を無作為に破壊し暴れた。 「和解? そんなことを!! そんなことできるわけないでしょう、私は貴方になって人間を皆殺しにするという望みがあるんです!! 嗚呼、つまらない余興でした、今すぐ潰して!! 殺して!! 喰らって!!」 四本の腕が俺を挽き肉にしようと、迫ってくる、恐怖に屈しそうになる心根を叩きのめし。 「違う!!」 策も何もない、逃げられないなら不確かな、あの情報でも頼るしかない、生き延びるためなら賭事に打ってでる。 「確かに、俺を喰らうことはお前の望みの足がかりだけど、でもな!! そこから先は違う!! そうだろう!?」 そう言って笑う、何の策もないことが悟られないように不敵に笑う。 「…………まさか、貴方、このゴキブリ野郎」 少女の動揺が腕に伝わったのか、四本の腕が震え始めた、賭事に勝つための布石を打つ。 「そのまさかだぜ?」 気障っぽく、挑発するように言い返す、まだ、確信に至っていないが反応は上々だった。
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