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「お前の望みは人間の皆殺しなんかじゃない、そうだろ!? むしろ、もっと真逆な……」
あえて焦らす、確信的な部分を隠して少女の反応を見極める、正解か、不正解かそれでも、仮に正解だったとしても和解できるかわからない。
「黙りなさい!! どうせはったりなんでしょう? 私を惑わせようとしてるんでしょう? その手には乗りません、貴方の口車なんて今すぐ叩き潰して黙らせます」
顔を真っ赤にしてツインテールの黒髪が揺れた、四本の腕の内の一本が、俺の頭を潰そうと振り下ろされる、それに合わせるように片手を振り上げた、拳と拳がぶつかり合い、グチャリと嫌な音をたててボロボロになった俺の拳が露わになった、痛みに顔をしかめる、反面、少女の造られた腕には傷、一つない。
「無駄なんです、わかりせんか、この実力差が、さあ、今度はどこを失いたいですか、貴方のことだから、首だけになっても生きてるでしょうね、このゴキブリ野郎!!」
少女は、まくし立てくる、何かを誤魔化すように焦ったふうに拳を振るうけれど。
「実力差? そんなものは頑固親父のちゃぶ台返しのようにひっくり返ってしまうのが、常識だろうが!!」
言い返し、頭の中に、あの情報、何かしらの情報を含んだ花びらが落ちていく想像が舞っていく。
『私は外の世界に出たら……』
「どうな常識ですか、ふざけるのも大概にしていただきたい」
予測が、予想が確信に変わる。
「これからひっくり返すんだよ、拳、一つを代償に得たものでな」
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