白黒……

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肉が裂けて、骨が砕ける音がした、四本の腕は絶えず振るわれ続けている、賭事には勝てたけれど、この喰い合い勝負に勝てたわけじゃない、賭事は所詮は一方的なものに過ぎない、切り札を得て勝負を和解という引き分けに持っていくための足がかりに過ぎないのだ。 「死ね!! 死ね!! 今すぐ死になさい!!」 とっさに両腕で頭を庇っても長くはもちそうになかったけれど、それでいい、切り札は切った、あとは結果次第だ。 「なんで、どうしてなの、消えていく? 私のゴーレムの腕が消えて無くなっていく? ありえません、そんなことが」 少女が動揺しうろたえていた、そう、ゴーレムの腕、造られた四本の腕が俺を殴りつけるほどボロボロと崩れ落ち消えていく。 「窮鼠、猫を噛むって知ってるか?」 俺は少女に問いかけるように言った。 「追い詰められた鼠は意外な反撃を見せるんだ 」 それは、策士としては落第だろう、策とも言えない策だった、ほぼ成り行きと運任せ、即席のぐだぐだの策でしかない。 「ゴーレムの力は創造と構造、つまり、自分自身の身体と精神を媒体にこの世界に具現化する力、頭の中でイメージしてるんだろ?」 俺が偽物の足を造ろうとして少女の打撃により失敗したように、少女も頭の中で四本の腕をイメージしていたとしたら? 少女は答えない、悔しそう唇を噛み締めて俺を睨みつけるだけだ、無言の肯定と受け取って続けた。 「例えば、他のことで頭の中がいっぱいになったとしたら?」 そう、例えば知られたくない秘密を暴露されそうになったり。 「それを、何度も何度も揺さぶられたとしたら?」 秘密を言いそうで言わない、知られていそうで知らなそう、わかっていそうでわかっていないかもしれないけれど、聞くことなんてできない、聞けばその秘密を自分自身で暴露するはめになり、ただ、単純に猜疑心だけが募りに積もって、結局。 「ゴーレムのイメージを崩してしまうくらい動揺した、だから、この世界に具現化できないで崩れ落ちた」
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