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等間隔に設置された街灯に照らされた街中を通学用のママチャリで悠々と走っていく、コンビニで買った、弁当や飲料ががだがたとカゴの中で揺れていた。
ギューッと腹の音がなり、自然と車輪を漕ぐ力が上がる、早く帰ろうと静けさが支配する夜の街をママチャリを走らている最中だった。
「逃げて……」
歩道の隅、ボロボロワンピースを着た女性が立っていた、暗がりに隠され、表情は見えない。
「……にげて?」
聞き違いだろうとそのまま、真横を横切ろうとした瞬間。
………スパンッ………
何かが、音もなく煌めき、俺は乗っていた自転車ごと歩道に倒れ込み、ごろごろと女性の前に転がった。
自体を理解する前に、それは唐突にブンッと振られ、飛び散り、俺の顔を濡らしべっちょりと足れていく。
「………血?」
ほうけるように、見渡す先に、女性の片手に握られた細長く棒状の物、続いて、横一文字に斬られたママチャリ。
「………え?」
ふくらはぎから下の右足が転がっていた。
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