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脳みそが自体を理解する、あれは、あの俺の右足だ。
そして、女性が持っている、細長く棒状の物、ゲームやアニメなんかで、お馴染みだが、実物を見たことはない物、日本刀。
「うぃぅあああああああああああああああああ」
這う這うの体でその場を文字通り、這う。
走っては逃げられない、立つこともできない、右足がだんだん、熱を持つように痛む、蛞蝓みたいに血液を地面に塗りたくり、それでも這う、這って這って、逃げるけれど。
……ドスッ……
非情にも、日本刀と切っ先が身体に貫かれ、ぶちぶちと肉体を切り裂く。
「ごめんね、ごめんねごめんねごめんねごめんね、ごめんね」
病的に謝る、女性とは裏腹に抜き身の日本刀が引き抜かれ。
「ぎぃやぃぃぃ」
情けなく、呻き声を上げても、それでも這う、コンクリートの地面に爪を立て、無理矢理、引っ掻き、離れる。
夢なら覚めてほしいが、身体中の痛みが現実だと親切に教えてくれる、事件や事故の当事者になりたいと思った俺をぶん殴りたい。
「ごめんね、本当にごめんね」
最後に、そう聞こえたかと思うと、もう一度、日本刀が振り下ろされた。
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