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「死にたくない死にたくない死にたくない、助けてくれ助けてくれ助けてくれ」
戯言のように絞りだす言葉はそれだけだった。
溢れ出す血液が、感覚が麻痺していく右足が、俺をじわじわと苦しめていく、藁にでも縋って、ただ、単純に生きたいと執念だけが俺を後押ししていく、死にたくない、生きていたい。
「いつの世も人は生に縋るのかな、まぁ、僕も例外じゃないけれど」
シィの独り言が聞こえ、左手にチクリと針が刺されるような感覚がして、意識が混沌としていく中、遠くからもう一つの声が響く。
「シィさま、残念ながら、逃げられちゃいました、すみません」
「仕方ないさ、こうなることは想定内、ミィ、この男の子をラボラトリーに運ぶ、死にかけてる急いでくれる?」
「了解しましたー」
ガシッと、ミィと呼ばれた奴は俺を担ぐと、傷口がよじれ「ウゲッ」っと激痛が走る。
「トップスピードでいきます」
………タンッ………
地面を力いっぱい蹴る音がして、浮遊感身の中、意識はだんだん薄れていった。
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