とある龍のつがいの話

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「生まれたばかりの雛ではないか」 「龍基準で俺を見るのやめてくれないかな!」  噛み付きそうな勢いで怒っているのだが、仔龍が怒っているようにしか見えずに微笑んでしまう。 「分かった分かった」 「孫を見る目しないでくれる……? そういや、龍の成人っていつだっけ?」 「成龍となるのは二百歳だな。しかし伴侶を得るまでは半人前だ」 「二百……」  ずるずると、また友人は突っ伏した。  わたしが彼を幼子のように見てしまうのは、彼が、妻を育ててくれた人間の子孫だというのもあるのだが……それはまだ言わないでおく。
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