とある龍のつがいの話

3/9
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 彼女は、元々の領土で瀕死だったところを、旅の途中だった今の親に拾われ、育てられたようだ。  人に育てられたせいか、彼女は人の習慣を大切にしていた。  中でも大切にしているのは“記念日”だ。  ことある事に“記念日”が増えてしまって、本人も全てを把握出来なくなっている。  それでも、彼女はどうしてもある記念日に拘る。拘るのだが、毎年その日を間違えてしまうのだ。  楽しみにし過ぎて、その日を考え過ぎて、時間が狂ってしまうらしかった。  ちょうど昨日がそうだったのだ。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!