とある龍のつがいの話

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「これが“恋は盲目”というやつだろうか」 「なんか違うよ、それ」  昨日の話を最近出来た友人に話していたら、何故かげんなりしている様子だ。 「甘い……砂吐きそう……」 「出来もしない事を言うな」 「現実的な突っ込みすんな!」  事実を指摘するとやっきになって怒るので、面白半分でついやってしまう。 「けどいいなー。俺も彼女欲しい……」  言いながらレストランのテーブルに突っ伏する友人の頭を、子供に言い聞かせるように小突いた。 「まだ雛のくせに何を言うか」 「雛じゃねぇっての! どうみても成人してるだろ!?」  人である友人はそう言って吠えるが、年齢的には雛だった気がする。 「五十だろう?」 「二十五だよ! そんな歳食って見える? 俺……ねえ、見える?」  友人が周りの客へそう訴えると、顔見知りは一様に彼を慰めた。大丈夫、二十代にしか見えないよ、と。
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