7人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「これが“恋は盲目”というやつだろうか」
「なんか違うよ、それ」
昨日の話を最近出来た友人に話していたら、何故かげんなりしている様子だ。
「甘い……砂吐きそう……」
「出来もしない事を言うな」
「現実的な突っ込みすんな!」
事実を指摘するとやっきになって怒るので、面白半分でついやってしまう。
「けどいいなー。俺も彼女欲しい……」
言いながらレストランのテーブルに突っ伏する友人の頭を、子供に言い聞かせるように小突いた。
「まだ雛のくせに何を言うか」
「雛じゃねぇっての! どうみても成人してるだろ!?」
人である友人はそう言って吠えるが、年齢的には雛だった気がする。
「五十だろう?」
「二十五だよ! そんな歳食って見える? 俺……ねえ、見える?」
友人が周りの客へそう訴えると、顔見知りは一様に彼を慰めた。大丈夫、二十代にしか見えないよ、と。
最初のコメントを投稿しよう!